【 フィリピン】外国企業が小売業に参入する際の3分類メリット・デメリット

小売業に参入
 
以前下記の内容のBLOGを書きましたが、今回はもう少し深掘りしたBLOGを書こうと思います。
前回の記事↓

フィリピンで飲食店を経営したい方「必見」

フィリピンの目的別の家計消費 項目別支出額・支出割合(全世帯)
 
 
外国企業が小売業に参入する際、その進出形態は、3つに分類されます。
 
  1. 合弁会社設立
  2. フランチャイズ 契約
  3. パッケージライセンス契約
 
外国資本による小売業への参入は後述する条件を満たせば100%まで可能
 
実態としては地場企業による流通及び不動産における影響力、また関税局や国税局といった政府機関対応の障壁から、独資での小売参入はこれまでのところあまり例がない。



合弁会社設立

 
外国企業が地場企業合弁会社を設立し小売業に参入する場合、外資規制における条件を満たす必要がある。また、外国企業が既存事業に出資する場合も同様の条件を満たす必要がある。
 
【小売業における外資規制】
フィリピンでは 1954 年の小売業国民化法により、外資企業によるフィリピンの小売市場への参入が禁止されてきた。しかし、2000 年に共和国法 8762 号、通称「小売自由化法(The Retail Trade Liberalization Act of 2000)」が制定され、外資による小売市場参入が条件付きで可能となった。同法第 5 条によると、以下の条件を全て満たせば、外資の参入が許可される。
 
1) フィリピンペソでの払込資本金が 250万米ドル以上であること
2) 一店舗当たりの投資額がフィリピンペソで 83 万米ドル相当以上であること
 ・ なお、「投資」は、建物、貸借権、家具、機器、在庫など有形・無形資産を含む
3) 外資比率が80%以上の場合、営業開始後 8 年以内に、最低 30%の株式を国内株式市場にて公開すること
4) 親会社の純資産が 2 億米ドル以上であること
5) 世界で 5 箇所以上の直営若しくはフランチャイズ店を有するか、資本金が 2,500 万米 ドル以上の店舗を1店舗以上有すること
6) 5年間の小売業実績を有すること
7) 親会社の登記国がフィリピン資本の小売業参入を認めていること

なお、高級品若しくは贅沢品に特化した企業の場合は次の条件となる。
1) 一店舗当たりのフィリピンペソでの払込資本金が 25 万米ドル以上であること
2) 親会社の純資産が 5,000 万米ドル以上である
3) 上記 5)~7)と同じ


同法の第 3 条において、「高級品若しくは贅沢品」とは、生活維持に必要がなく、主に高所得者層からの需要であるものと定義付けられている。例として、宝石やブランド・デザイナーズ衣類及び靴、アパレル、レジャー・スポーツ用品、電気製品及びその他身の回り品が挙げられている。

外国企業と合弁会社を設立している主な地場小売業は、SMグループ及びRobinsonsグループである。例えば、SM グループは 2010 年に Forever21 を展開する Forever Agape & Glory, Inc(払込資本金 1 億 2,000 万ペソ、比資本 60%、外資 40%)を、2012 年にFast Retailing (Singapore)と Fast Retailing Philippines(払込資本金 4 億ペソ、比資本 25%、 外資 75%)を設立した。また、Robinsons グループは大創産業と RHD Daiso-Saizen, Inc. を設立しSaizen というブランド名で「100 円ショップ」(88 ペソショップ)を運営してい る(払込資本金 9,260 万ペソ)。



フランチャイズ契約


フランチャイズ契約は、フィリピン国外にある非居住外国企業がフランチャイザーとなり、フィリピン国内のフランチャイジーとなる地場企業と契約を結ぶ場合と、外国企業がフィリピン国内に現地法人を設立する場合が考えられる。

外国企業はフィリピンに組織を設立し自ら事業を行うわけではないため、前述の外資規制を満たす必要はない。フランチャイザーとなる外国企業は売上に基づくロイヤルティ収入を得ることになる。

店舗は全てフランチャイズとし直営店を保有しない場合は小売外資規制を満たす必要はない。一方、現地法人が直営店を保有する場合は、小売外資規制を満たす必要が出てくる。


フランチャイズ契約の形態
 
フランチャイズ契約の形態
 
 


パッケージライセンス契約

 
フィリピン国外にある外国企業がフィリピン企業に対し、商号・ブランド名及びノウハウ使用の権利を許可するものである。
 
フランチャイズ契約同様、外資規制に挙げられている条件を満たす必要はない。
 
外国企業は使用権の対価として加盟金を得ることになる。パッケー ジライセンス契約がフランチャイズ契約と大きく異なるのは、フィリピンでの事業開始後の経営サポートや販売・仕入等に関するオペレーション上の規定を行わない点である。
 
提携先のフィリピン企業が既に販路拡大や経営ノウハウを持っている場合や店舗開発・販売・仕入等の標準化を必要としない場合はパッケージライセンス契約型が向いている。